concept
展覧会の開催に際して
この記号は一体何を指し示すのだろう。
ただの文字の羅列でしかないこの記号が、ある特定の場所を記すために民法上定められたものであるならば、そこに曖昧さは認められないはずである。しかしながら、その場所を知らない人はこの記号を見てイメージを具体化させることは難しい。
逆にそこに住む人、近所の人、訪れたことがある人にとっては濃度の差こそあれプライベートな記憶を交え たイメージが浮かぶ。
つまり人々は、曖昧さを許さない具体的な記号をもとに、曖昧で多様なイメージを抱き持つという事だ。
そして私たちは、その曖昧なイメージをある種の常識や基準として、具体的な日々の営みを構築しているとも考えられる。
場所という前提を与えてみてさえ多層性を持つこの記号は、もちろん場所でもないのかもしれない。
『渚町5丁目4 番地 4F ・5F ・6F』という、ここ。
私たちに何が成せるのだろう。